著作権法第二条 九 放送事業者

条文

第二条 九 放送事業者 放送を業として行う者をいう。

定義

本号の概要

本号は放送事業者の定義を規定しています。放送事業者は、放送事業者の権利という著作隣接権の一つを有しており、強制許諾の恩恵を受けると同時に、商用レコードの二次使用に伴う料金の支払い義務を負う存在です。さらに、映画作品の著作権を放送事業者等が一時的に固定することに関連する規定にも影響を及ぼします。

本号の定義

放送事業者は、法律上の放送を「業として」行う者で、事業者である必要があり、これが実演家やレコード製作者との違いです。法律上の放送事業者は放送法の要件と異なり、無線局の免許が必須ではありません。”業として”とは、利益の有無に関わらず、一定の社会的地位に基づいて繰り返し行われることを意味します。従って、アマチュア無線家が繰り返し放送していても、電波法や放送法に違反しているかどうかに関わらず、本号の放送事業者に該当します。本号の放送事業者の定義には、電波法による放送免許を持つ者(NHK、民間放送、放送大学など)に加え、免許を持たない者も含まれます。例えば「駐留軍放送(アメリカ軍放送網)」やミニFM局などがあります。

「本件番組の送信に当たって、前記第二、一3記載のとおり、送信される素材の収集や番組の編成など番組の送信過程の主要部分を自ら行っており、本件番組の送信の主体ということができる者であるから(なお、原告らにおいても、被告第一興商が本件番組の送信の主体であるとの前提に立って、同被告に対し、本件各音源の公衆送信の差止めを求めているのであるから、被告第一興商が本件番組の送信主体であること自体は、
当事者間に争いがないものといえる。)、電波の送信行為を自ら行っていないからといって、「放送を業として行う者」というを妨げないというべきである。したがって、原告らの前記主張は採用できない。」

(東京地判平成12年5月16日判時1751号 128頁 〔スターデジオ1事件〕)

参考資料

条解著作権法(小泉直樹他、弘文堂、2023年6月15日

標準著作権法第5版(高林龍、有斐閣、2022年12月28日)

著作権判例百選(第6版)(小泉直樹, 田村善之, 駒田泰土, 上野達弘 有斐閣、2019年3月11日)

文化庁「令和5年度著作権テキスト」

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