著作権法第二条九の四 自動公衆送信

条文

九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。

定義

本号の概要

本号は自動公衆送信の定義を定めています。自動公衆送信は公衆送信の一種で、著作物の自動公衆送信は「公衆送信権」の範囲内に含まれます。第23条第1項は、自動公衆送信においては送信可能にする準備行為も公衆送信に含まれると規定しています。本号は、送信可能化行為に対する権利行使ができる「公衆送信」の範囲を明確にしています。

公衆送信のうち

自動公衆送信は公衆送信の一種ですので公衆送信の要件を満たしている必要があります。

公衆からの求めに応じ自動的に行うもの

自動公衆送信とは、 以下の2つの要件を満たす公衆送信と定義されます。

①:公衆からの求めに応ること
②:自動的に行うもの

無線でも有線でも該当します。例えばインターネット上で著作物が掲載されたサイトにアクセスすると、その著作物のデータが利用者の端末に自動的に送信される場合が自動公衆送信にあたります。公衆からの個別の要求に基づいて送信される必要があり、テレビ放送のように公衆の要求なしに同時に同じ内容が受信される送信形態は自動公衆送信には該当しません。また、公衆の求めに関係なく送信される場合(例えば定期的または不定期に送信される場合)も自動公衆送信には含まれません。送信は「自動的」でなければならず、人間の作業を介して行われる送信は自動公衆送信には該当しません。

放送又は有線放送に該当するものを除く

本号の括弧書きで、放送が自動公衆送信から除外されていることが記されています。公衆が同時に同じ内容の放送や有線放送を受信することは、通常、公衆の要求に基づいて送信されるものではないため、自動公衆送信には当てはまらないと考えられます。しかし、公衆の要求に応じて自動的に行われる場合があっても、これは自動公衆送信には含まれません。放送や有線放送が除外されているのは、立法当時初回アクセスの瞬間から同じ内容の同時受信のための送信が開始される可能性を考慮し規定したためです。

参考資料

条解著作権法(小泉直樹他、弘文堂、2023年6月15日

標準著作権法第5版(高林龍、有斐閣、2022年12月28日)

著作権判例百選(第6版)(小泉直樹, 田村善之, 駒田泰土, 上野達弘 有斐閣、2019年3月11日)

文化庁「令和5年度著作権テキスト」

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