著作権法第二条 九の六 特定入力型自動公衆送信

条文

九の六 特定入力型自動公衆送信 放送を受信して同時に、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することにより行う自動公衆送信(当該自動公衆送信のために行う送信可能化を含む。)をいう。

定義

本号の概要

令和3年の改正で導入された特定入力型自動公衆送信の定義に関する規定です。この改正では、放送と同様の機能を持つ自動公衆送信を特定入力型自動公衆送信として定義し、その概念を明確化しました。また、放送対象地域等で受信される場合は地域限定特定入力型自動公衆送信として区別されるようになりました。

放送を受信して同時に

「特定入力型自動公衆送信」の要件として、放送を受信すると同時に送信する必要性がある。

放送と同時又は近接したタイミングで行われる配信について、「放送同時配信等」という定義を新たに設けることとし、放送との同時性を「放送…が行われた日から一週間以内」(新法第2条第1項第9号の7イ)と規定し、明確に放送との時間的な近接性を定義として定めることとしている。

文化庁「著作権法の一部を改正する法律(令和3年改正)について」


公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することにより行う自動公衆送信

「特定入力型自動公衆送信」は、自動公衆送信の中でも入力型に限定されています。

自動公衆送信は、公衆からの求めに応じ自動的に行うものとされ、本条では送信可能化を定義していますが、その中で「公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。」のみがこれに該当します。

そのため、「その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。」は該当しません。

参考資料

条解著作権法(小泉直樹他、弘文堂、2023年6月15日

標準著作権法第5版(高林龍、有斐閣、2022年12月28日)

著作権判例百選(第6版)(小泉直樹, 田村善之, 駒田泰土, 上野達弘 有斐閣、2019年3月11日)

文化庁「令和5年度著作権テキスト」

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