Gemini 4 Carbonが総合首位の座に:Alphabet決算から見るAIの成長と投資負担

人工知能

はじめに

Gemini 4 Carbonは、総合性能で首位に立った一方、現時点の提供は一部のサイバー防御者に限られます。Googleが米国時間2026年10月28日、日本時間10月29日に発表した新モデルは、Artificial AnalysisのIntelligence Index v5.0で59点を記録しました[1][2]。性能とともに、利用できる時期や実行費用も確認したいモデルです。

同じく米国10月28日発表のAlphabetの2026年第3四半期決算は、売上が前年同期比25%増、Cloud売上が2倍超となりました。ただし、純利益は前年を下回り、市場予想との比較や資金の動きには厳しい面もあります。モデルの進歩と、それを支える事業・設備投資の両方から見ていきます。

Gemini 4 Carbonとは:AA Intelligence Index v5.0で59点の首位

GoogleはCarbonを「最強のフロンティアモデル」と位置づけています。土台は2週間前に発表したGemini 4 Argonで、ピチャイCEOは、ほぼ全領域でArgonを上回ると説明しました[3]。短い期間で登場した後続モデルですが、まずはGoogleの説明と外部評価を分けて読むと整理しやすくなります[1]。

外部評価のAA Intelligence Index v5.0では、Carbonが59点で1位、2位のClaude Opus 5.5 Maxが58点です。整数表示では1点差であり、この順位だけで、あらゆる用途でCarbonが上だと判断するのは避けたいところです。部門ごとの結果には違いがあります[2]。

仕様は100万トークンのコンテキストに対応し、入力はテキスト・画像・動画・音声、出力はテキストです。複数の形式を入力できることと、同じ形式を生成できることは区別しておきましょう。長い資料を扱う場合にも、入力可能な量と、必要な内容を正確に拾えるかは別々に確認したい点です[4]。

部門別成績とコスト

CarbonとOpus 5.5 Maxの9評価を比較

以下はAA比較ページの成績です。評価ごとに尺度が異なるため、行をまたいだ数値の大小ではなく、同じ評価内で両モデルを比べます[2]。

評価Gemini 4 CarbonClaude Opus 5.5 Max
AA-Briefcase16091800
AutomationBench78%70%
Terminal-Bench 4.065%60%
FrontierCode 2.041%46%
AA-Omniscience5448
GDP.pdf28%26%
HLE-Diamond69%68%
CritPt v263%61%
Terminal-Bench-Science65%59%

Carbonが高い評価は多いものの、AA-BriefcaseとFrontierCode 2.0ではOpusが上です。特にFrontierCode 2.0はCarbonの41%に対してOpusが46%。総合首位という見出しだけでは、この差が見えなくなります。コードを扱う用途でも、総合点と個別の評価を併せて判断する必要があります[2]。

HLE-Diamondは69%対68%、GDP.pdfは28%対26%です。同じ首位でも、比較相手との差は評価ごとに異なります。自分が任せたい仕事に近い項目を見てから、料金や待ち時間を合わせて候補を絞りたいところです。

タスクの費用・トークン数・速度

AAが示す標準価格ベースの1タスク費用は、Carbonが7.76ドル、Opus 5.5 Maxが10.04ドルで、Carbonは約23%安くなっています。一方、GPT-6 Astraの6.25ドルに対しては約1.2倍です。Argonの7.68ドルとは同程度で、総合スコアは9点高くなりました[4]。

1タスクの出力はCarbonが約12万3,000トークン、Opusが約17万3,000トークンで[4]、Carbonの推論トークンは約7万2,000です[2]。Index全体の実行費用は8,240ドル、生成速度は約98トークン/秒(確認日時点)とされています[2]。

これらは評価課題を処理した際の数値です。ブログ記事1本の料金や、手元の依頼が終わるまでの時間に、そのまま置き換えることはできません。出力量と修正の回数も見ながら、実際の仕事で比較するための目安として扱うのがよさそうです。

また、AAのCoding Agent Indexでは、CarbonはOpus 5.5に次ぐ2位でした。Intelligence Indexの1位と、コーディング向け指標の2位はそれぞれの結果として読む必要があります[4]。

導入価格と、その後の価格

APIの導入価格は100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドル、導入期間後は入力4ドル・出力20ドルです。キャッシュ入力は95%引きと案内されています。AAによると導入価格の終了日は未定です[1][4]。

評価時の1タスク費用と、導入期間のAPI単価を混ぜて安さを判断しないようにしたいところです。継続利用を考えるなら、期間後の単価も予算に入れておく必要があります。ただし、価格が公表されていることと、一般の利用者が今すぐ使えることは別です。

サイバー防御と安全対策、提供範囲

Googleによると、ガードレールを外した評価で、実ソフトウェアの脆弱性を発見するSEC-bench Proは88.2%、悪用可能性を検証するExploitGymは54.8%、根本原因へのパッチを評価するCollinear CWE-benchは71.0%でした。Googleはいずれも最高水準と主張していますが、これらは同社の自己申告です。公式ブログ本文には、各ベンチマークの他社モデルの具体的な比較スコアは示されていません[1]。

同社の説明では、社内のセキュアコード生成成功率はArgon比で2倍超となり、Chromeチームは他社大型モデルに比べ10倍超の良質なパッチが得られたとしています。WizによるWebペネトレーションテストでも首位と紹介されました。これらの説明から、先ほどのAAの順位や部門別成績と同じ条件で優劣をつけることはできません[1]。

長時間の自律作業についても、Googleは社内で数日間走り続け、大規模コードベースや低レイヤのバグの原因特定・修正を完遂したと説明しています。WebDev Arenaでは89 Elo上昇し、1768で4位と報告しました。ここもGoogleが公表した結果として受け止めたい部分です[1]。

安全対策には、Argonと同じく、学習段階の対策、リアルタイムの悪用防御、プロンプトインジェクション耐性、思考過程の監視を組み合わせた多層構成を採用しています[1]。

Googleが示した数値では、Terminal-Bench 4.0での不正成功率は0.0%、試行率は0.4%。高深刻度のミスアラインメント警告はほぼ80%減、根拠のない主張は約半分となりました。越権は26%減、過少対応は29%減、Gray SwanのIPI攻撃成功率はArgonの0.7%に対して0.0%です。いずれも同社の評価結果であり、個別の試験で0.0%だったことを、あらゆる利用場面での安全の保証とは読まないようにします[1]。

提供は発表週から一部のサイバー防御者を対象に始め、Fairwind Programを通じて信頼できるパートナーへ段階的に広げる方針です。米政府の自主的なリリース前テストにも参加しています。開発者・企業・一般向けは「できるだけ早く」とされ、具体的な一般提供時期は未定です[1]。

Alphabet 2026年第3四半期決算:売上25%増、Cloudは2倍超

増収・営業増益と、純利益の減少

2026年7〜9月期の売上高は1,275.8億ドルで、前年同期の1,023.5億ドルから25%増加しました。営業利益は30%増、営業利益率は31.8%です。一方、純利益は262億ドル、EPSは2.12ドルで、前年の349.8億ドル・2.87ドルから減少しています[5]。

売上の伸び、営業段階の利益、最終的な純利益では動きが違います。「AI需要で成長」という説明だけでは、この決算の全体像をつかめません。どの事業が伸びたかと、最終利益がどうなったかを並べて確認します。

セグメント別の売上と利益

Servicesの内訳を含む主な数字は次のとおりです。金額は億ドル、増減は前年同期比です。Services内訳の各行は同セグメントに含まれるため、表の全行を足し合わせるものではありません[5]。

区分売上高増減営業利益・利益率など
Google Services963.0+11%営業利益392、+17%、利益率40.7%
うち検索等633.5+12%—
うちYouTube広告112.1+9%—
うちNetwork74.6+1%—
うちサブスクリプション等142.9+11%—
Google Cloud307.1+103%営業利益111、3倍超、利益率36.2%
Other Bets3.72—営業損失20

Cloudは売上が2倍超になり、営業利益率も前年の23.7%から36.2%へ上昇しました。Servicesも増収・営業増益です。検索等やYouTube広告の数字とCloudの成長を分けて見ることで、既存事業とCloudの動きを追いやすくなります[5]。

市場予想との比較は厳しい結果

CNBCの報道によると、LSEGの市場予想に対し、調整後EPSは予想3.02ドルに対して2.67ドル、売上は予想1,282.2億ドルに対して1,275.8億ドルでした。売上と利益の同時未達は約4年ぶりと報じられています。前節のEPS2.12ドルと、ここで報じられた調整後EPS2.67ドルは、表記を分けて示しています[3]。

同報道では、フリーキャッシュフローは予想のマイナス27億ドルに対し、マイナス90.7億ドルでした。株価も10%超下落したとされています。前年より大きく伸びていても、市場の期待に届いたかという比較では厳しい結果でした[3]。

AI事業が決算に与えた影響

決算説明会では、Cloudの受注残は5,610億ドルで、大半が通常のGCP契約と説明されました。今後24か月で55%強を収益化する見込みです。受注残は今四半期に計上した売上とは異なるため、307.1億ドルのCloud売上と分けて読みます[6]。

TPUシステムの販売も成長に寄与し、第4四半期も拡大、2027年には大きく伸びる見込みとされています。一方、供給制約により第三者の計算資源を利用し始めており、短期的には利益率の逆風になります。需要が強いことに加え、その処理能力をどう確保するかが事業上の課題です[6]。

ピチャイCEOの説明では、自社APIの処理量は毎分約320億トークンで、前期比40%増、前年の4倍超となりました。Geminiアプリは10億ユーザーに達し、Argonの開発者利用は初週にGemini 3の3.5倍の速さで立ち上がったとしています。これらは利用の広がりを示す指標ですが、そのまま売上や利益の増加額を示す数字ではありません[7]。

検索クエリの成長率は商用クエリも含めて過去5年で最高と説明されています。AI Modeのクエリは通常の3倍長く、5件に1件が音声・画像・文書を使い、ビジュアル検索は月500億件超です。ただし、AI機能が広告収益に与えた定量的な影響は開示されていません。検索等の売上成長をすべてAIの効果として扱うことはできません[7]。

設備投資も大きな確認点です。第3四半期のCapExは513.6億ドルで、予想の550.9億ドルを下回りました。2026年通期の計画は1,950〜2,050億ドルで据え置きです。2027年は大幅増を見込み、詳細は第4四半期決算で説明する予定ですが、会社は具体的な金額を示していません[3][6]。

説明会では、減価償却と電力費が損益を圧迫することにも触れています。Cloudの利益率が改善した今期の実績と、今後の費用負担は併せて確認したいところです。売上の拡大だけで、将来の利益率まで判断するのは早いでしょう[6]。

ピチャイCEOは、売上が年換算5,000億ドルのランレートに達したと述べ、より効率的なモデルを近日中に投入する考えも示しました。このランレートは通期売上の確定値とは区別して読みます。性能の高いモデルの投入と、処理を支える投資・費用の動きを、今後も合わせて追いたい決算です[7]。

まとめ: CarbonとAlphabet決算

Carbonは総合59点で首位となりましたが、FrontierCode 2.0ではOpusが上回り、Coding Agent Indexも2位です。評価の種類、標準価格での実行費用、導入価格、一般提供の時期を分けて読むと、自分に関わる変化を判断しやすくなります[2][4]。

Alphabetは売上25%増、Cloud売上103%増の一方、純利益が減少し、報道では売上と調整後EPSが市場予想に届きませんでした。AI利用の増加と受注残の大きさに加え、供給制約、設備投資、費用負担までが今回の注目点です[5][3][6][7]。

私としては、GoogleのAIが総合首位の知らせを見ると、どこまで高い性能なのかとても気になります。ただ、Carbonは一般提供の時期が決まっていませんので、まずは使える範囲と条件を見ながら候補として追いたいです。

GoogleのGeminiの過去の傾向としてベンチマークに適応しすぎて実際に使ってみたところベンチマークほどのスペックを感じないことがよくあることも念頭に置いています。使えるようになったら、その性能から今まで私が行ってきた作業に関してどこまで高い性能が出せるかを見て料金表の安さだけでなく、タスクごとの費用と性能で判断したいと思います。

決算では、AIの利用が広がるほど計算資源への投資も大きくなる点が気になりました。利用指標や売上の伸びを追いつつ、利益や資金の動きも見ていきたいです。記事でも、性能の話と事業の数字を丁寧につなぎ、分かっている範囲を読者に伝えていきたいと思います。

 

参考資料・出典

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